見どころ
コールドコールの実践で語られた「入口の突破」「結論先出し」「オンリーユー化」「名前連呼」「よろしくお願いしますで締める」を、すぐ使える台本とチェックリストに落とし込みます。
総合評価:★★★★☆
- メリット:入口離脱を減らし、アポ獲得率を構造的に引き上げます。
- ポジティブメッセージ:話術より設計です。台本化すれば、誰でも再現できます。
見どころ1:★★★★★ 「営業電話と思わせない」「あえて言い切る」を使い分ける二刀流の入口設計。
見どころ2:★★★★☆ 「そんなあなたにこそ」で拒否を転換するオンリーユー化の実践フレーズ。
見どころ3:★★★★☆ クロージングを「いかがですか?」で終わらせない、既定路線化の決め口。
電話営業のコア原則:設計・記録・改善
本編の出発点は明快です。トークは頭でつくるのではなく、かけながら書いて磨くものです。通話と同時にGoogleドキュメントやスプレッドシートを開き、オープニング→本題→クロージングの三段を逐次記録し、反応が良かった語を残し、悪かった語を捨てます。これにより、属人芸は仕組みに変わります。
オープニングの三原則:15秒で敵ではなくなる
1. 営業電話と思わせない(関係者っぽさを出す)
- 「いつもお世話になっております、○○の西原です。総務の方いらっしゃいますか。」のように、過度にかしこまらず、ライトに入ります。
- 目的は“切られない”ための一歩。相手の防御反応が立ち上がる前に会話をスタートさせます。
2. あえて言い切る(潔さで開く)
- 「本日は営業の電話でご連絡しました。」と先に明かす手も有効です。相手の時間を尊重する姿勢が、逆に会話を開きます。
- 汎用品や比較慣れした商材では、とくに効きます。曖昧さより率直さが信頼を生みます。
3. 最初の15秒で自分が笑う
- 声だけのコミュニケーションでは、抑揚が感情の代役です。自分の声で空気を柔らかくし、相手のクスッを引き出します。
- 例:「私、サンドイッチより営業が好きでして。」と軽く自己開示するだけでも、温度が一段下がります。
豆知識: 声だけの会話は、内容よりも最初のトーンで印象が決まります。最初の15秒で「敵ではない」を示せなければ、内容は届きません。
提案パートの鉄則:結論→理由→あなた専用
結論を先に言う
- 「結論:複合機の入替をご判断いただきたい件です。」と冒頭で目的を明確化します。
- 時間を奪わない話し方は、それだけで信用になります。
「そんなあなたにこそ」で拒否を転換
- 「今は入替の予定がないんだよ。」に対して、「まさに予定がない企業さま向けに、費用ゼロの事前診断だけ行うご提案です。」と、相手をオンリーユーに変換します。
- “あなた限定の理由”を必ず添えます(契約更新月、ページ単価、保守方式など)。
名前を連呼して主役化する
- 「鈴木様、先ほどおっしゃった“コスト据え置き”の条件、ここを崩さずに試算します。」のように、文頭に名前を置き、会話の主導権を相手に渡します。
- 名前が取れなければ丁寧に確認し、以後すべてのフレーズに埋め込みます。
クロージング:質問で終わらせない
「いかがですか?」を封印する
- 意思決定は負荷です。選択を委ねすぎると回避されます。
- 「では来週火曜の15時に診断MTGを設定します。よろしくお願いします。」と既定路線で締めます。
決め口テンプレート
- 「本件、一次診断→見積→判定の3ステップで進めます。初回は30分で十分です。よろしくお願いします。」
- 「御社の更新月は前倒しできませんので、今週に条件確認だけ済ませましょう。よろしくお願いします。」
- 「ご判断材料を3枚(費用・効果・リスク)でお出しします。資料受領ミーティングを金曜16時で押さえます。よろしくお願いします。」
豆知識: 「よろしくお願いします」は日本語の合意要求として機能します。疑問形を避け、宣言形で締めると、相手の「ノー」を言うコストが上がり、実行率が上がります。
“台本化”で再現する:スクリプトの作り方
三段構成で書く
- オープニング:入口の三原則(関係者感/言い切り/笑い)。
- 本題:結論先出し→相手の拒否をオンリーユー化→名前連呼。
- クロージング:既定路線の宣言→日時の確定→「よろしくお願いします」。
反応ログを残す
- 各フレーズの反応を○/△/×で記録します。
- ○だけを翌日の台本に残し、△/×は修正か廃棄。これを毎日繰り返します。
すぐ使えるフレーズ集:状況別ベストプラクティス
入口バリエーション
- 関係者型:「いつもお世話になっております、○○の西原です。総務の方、今お電話大丈夫でしょうか。」
- 言い切り型:「本日は営業のご連絡です。内容は保守費の最適化一点のみです。」
- 15秒笑い:「私、コーヒーよりコールが好きでして。30秒だけお耳ください。」
拒否→転換
- 「今は不要」→「だからこそ費用発生ゼロの診断だけ先に置きませんか。」
- 「他社で満足」→「満足の基準を見える化して、維持できているか一緒に確認しましょう。」
決めの一言
- 「一次診断だけ設定します。来週火曜15時、私から招待お送りします。よろしくお願いします。」
失敗パターンと回避策
“長い前置き”問題
- 症状:社歴・受賞歴・会社紹介が続く。
- 回避:結論→理由→あなた専用の順に、60秒以内で。
“疑問形クロージング”問題
- 症状:「ご都合いかがですか?」で沈黙が生まれる。
- 回避:日時を宣言し、「よろしくお願いします」で締める。
豆知識: 台本の文末を「〜です。」で統一すると、声の下降が安定し、信頼感が上がります。疑問形の多用は不安定な印象を与えます。
練習メニュー:明日からの30分
1. 一発録音(10分)
- オープニングからクロージングまで通しで録音し、間と語尾をチェックします。
2. 置き換え練習(10分)
- 「不要です」への返しを3種書き、ローテーションします。
3. 時刻宣言練習(10分)
- 「木曜14時で調整します。よろしくお願いします。」を、息継ぎ少なめで滑らかに言う練習をします。
成果は“入口×台本×既定路線”の掛け算
- 入口は関係者感/言い切り/15秒の笑いで切り開きます。
- 本題は結論先出し→オンリーユー化→名前連呼で主役にします。
- 締めは宣言形+よろしくお願いしますで既定路線に乗せます。
精神論ではありません。台本化して反応ログを回すほど、再現性は上がります。まずは今日、15秒の入口と「よろしくお願いします」を書き直してください。それだけで、通話の温度は変わります。



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