【誰でも成果が出せる営業術】ヒアリング4ステップと刺さる提案・クロージングの型

【誰でも成果が出せる営業術】ヒアリング4ステップと刺さる提案・クロージングの型 インタビュー

見どころ

総合評価:★★★★☆(再現性が高く、初学者のつまずきを具体的に外せます。残課題は自社事情へのカスタマイズ量です。)

  • メリット:ヒアリング→提案→クロージングまでを一貫する「型」と質問例が揃っているため、今日から会話に投入できます。
  • ポジティブメッセージ:営業は「話術」ではありません。「順番」と「質問」で勝てます。自分のセンスに頼らず、型で勝ち筋を作りましょう。

見どころ1:★★★★★ ヒアリング4ステップ(状況→問題→影響→合意取り)の実演が実務レベルで役立ちます。

見どころ2:★★★★☆ PREP法と選択式提示、松竹梅の設計で「迷わせず選ばせる」資料の骨格が分かります。

見どころ3:★★★★☆ テストクロージング→反論処理→ダイレクトクロージングの流れが台本化されています。

はじめに:営業は「話す仕事」ではなく「問題解決の設計」です

営業は商品を押し込む仕事ではありません。お客様の困りごとを特定し、その解消プロセスに合意していただく仕事です。つまり、強いプレゼンより先に、正しい順番で「聞く」ことが成果の分岐点になります。transcriptでは、営業の全体フローをラポール(関係づくり)→ヒアリング→プレゼン→クロージングと定義し、特にヒアリングを中核に据えています。

営業全体のロードマップ

  • ラポール:雑談ではなく「話してもよい相手」化の儀式です。場をほぐし、相手の口数を増やす準備を整えます。
  • ヒアリング:4ステップの質問設計で、顕在ニーズが薄い場面でも会話を前進させます。
  • プレゼン:PREP法や選択式、松竹梅で「選びやすく」「比較しやすく」提示します。
  • クロージング:テスト→反論処理→ダイレクトの順で、意思決定を手助けします。

ヒアリングの核:4ステップで“必要性”を相手の言葉で浮かび上がらせる

ステップ1:状況を聞く(確認・把握)

現状の施策、媒体、体制、KPIなどの「今」を把握します。ここで語り出すのは厳禁です。短い限定質問(はい/いいえで答える問い)で土台を作り、すぐに拡大質問で相手の発話量を増やします。

  • 限定質問例:現在の主媒体はテレビですか。
  • 拡大質問例:どのようなプロモーションに力点を置かれていますか。なぜその配分にされたのですか。

ステップ2:問題を聞く(摩擦の特定)

課題は相手の口から語られた時に初めて「合意」になります。こちらの仮説は飲み込み、拡大質問で掘り下げます。

  • 拡大質問例:どんな点があと一歩届いていないと感じますか。どのような場面で困りごとが顕在化しますか。

ステップ3:影響を聞く(放置コストの可視化)

最も聞きづらいが最も効く工程です。丁寧なクッション言い回しで、未解決時の影響を一緒に見に行きます。

  • クッション例:失礼に響いたら申し訳ありません。もし現状の課題が半年続いた場合、どのような影響が想定されますか。

ステップ4:合意を取る(提案への許可)

解決策の詳細を語る前に、方向性への合意だけを取ります。ここで初めて次の扉が開きます。

  • 例:いま伺った課題に対し、データ可視化を前提にした企画案の方向でお話ししてもよろしいでしょうか。

豆知識:拡大質問は「どのように」「なぜ」「どんな」などの3つの“ど”が鉄板です。相手の発話量が増えるほど、こちらは提案の材料が精緻になります。

やりがちなNGと修正例

  • NG:ヒアリング中に自社の強みを語る(反射的プレゼン)。
  • 理由:相手の頭の中で「いらない理由探し」が始まり、会話が後退します。
  • 修正:優先順位は「状況→問題→影響→合意」。強みはステップ4の「合意」後、プレゼン段階まで温存します。

プレゼンの型:PREP法と選択式、松竹梅で“選べる”を設計する

PREP法(Point→Reason→Example→Point)

  • Point:まず結論。「データ可視化を前提に、やめない顧客を獲得する施策に集中します。」
  • Reason:理由。「媒体横断で追跡できず、現場KPIが曖昧なため最適化サイクルが回っていません。」
  • Example:事例・案。「集計設計→指標統一→クリエイティブ検証のスプリントで、1サイクル2週間。」
  • Point:再結論。「2か月で検証3周を回し、継続条件を数値で合意します。」

選択式提示(メリット/デメリットの並べ方)

  • A案:現行継続。メリット先行→デメリット提示。
  • B案:当社案。デメリット先行→メリット提示。
  • 人は「耳障りの良い話」で思考を開き、「対比」で納得に至ります。順序が鍵です。

松竹梅(真ん中を選ばせる設計)

  • 松:フルスコープ(高価格・広範囲)。
  • 竹:推奨プラン(必要十分・最適コスパ)。
  • 梅:ミニマム(低価格・限定範囲)。

豆知識:松竹梅は極端回避妥協効果の応用です。文脈により、梅の仕様を意図的に狭く設計すると竹の相対価値が際立ちます。

クロージング:意思決定を助けるサービスとして設計する

流れ:テスト→反論処理→ダイレクト

  • テストクロージング:「在庫確認だけ先に進めましょうか。」、「お見積書の法務チェックに回しておきますか。」
  • 反論処理:ガードが上がったら理由を聞く。「どの点がご不安でしょうか。解消できるか確認します。」
  • ダイレクト:「懸念が解けたようなら、この条件でご一緒しますか。」

強いストレートを連打しても決まりません。ガードが上がったら、問いで開錠し、不安項目を一つずつ潰してから前に進みます。

内向的でも勝てる理由:質問主導の会話は饒舌を要しません

営業成果は雑談量ではなく、質問設計の良し悪しに相関します。相手が話す時間を増やすほど、こちらの仮説は磨かれ、提案の当たりが出ます。必要なのは快活さではなく、順番と質問の精度です。

すぐ使える台本テンプレート

ラポール

  • 「本日はお時間ありがとうございます。まず現状把握から伺ってもよろしいでしょうか。」

ヒアリング(4ステップ)

  • 状況:「どのようなプロモーション構成で、なぜその配分にされていますか。」
  • 問題:「あと一歩の壁はどこにありますか。具体例はありますか。」
  • 影響:「この状況が続くと、どの指標に最も影響しますか。」
  • 合意:「可視化前提の改善案で方向性だけ合意いただけますか。」

プレゼン(PREP)

  • 「結論:2週間スプリントで検証を3周回します。理由:KPI不整合の是正が先決です。事例:集計設計→指標統一→ABテスト。結論:2か月で継続条件を数値合意します。」

クロージング

  • テスト:「法務確認だけ先に走らせておきますか。」
  • 反論処理:「どの点がご不安でしょう。代替案も含めて潰します。」
  • ダイレクト:「本条件でご一緒しますか。」

よくある反対意見と切り返し例

  • 「今の業者を切れない」:「A案(現行維持)のメリットを活かしつつ、B案(当社案)を限定領域で併走するのはいかがでしょう。効果が出た領域から段階移行します。」
  • 「決裁が先」:「決裁に必要な要素は何でしょう。指標・リスク・代替案の3点で資料化して持ち帰っていただけます。」
  • 「予算が厳しい」:「梅プランで最小検証を先行し、成果に連動して竹へ拡張する設計は可能です。」

豆知識:「十分ですか?」と尋ねると、人は「不足」を自分の言葉で語りやすくなります。点数法(10点満点で何点か)も有効です。

順番を守れば、誰でも成果は再現できます

  • 会話の主役は相手。拡大質問で「問題」と「影響」を相手の言葉で確定することが先です。
  • 提案は合意の後に。PREP法と選択式、松竹梅で「選ばせる」構造を作ります。
  • クロージングは意思決定支援のサービス。テスト→反論処理→ダイレクトで迷いを解きほぐします。

営業はセンスではなく、順番と設計です。まずは次回の面談で、ヒアリング4ステップだけを完璧にやり切ってください。プレゼンはその後で十分に間に合います。

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