新潟の貧しい農家から総理大臣にまで上り詰めた男、田中角栄。彼は建築業から政界まで、数多くの人と渡り合ってきました。その経験の中で彼が確信したことはただ一つ、「性格の悪い奴は、どんなに言葉を取り繕っても必ず顔に本性が現れる」ということです。目つき、口元、表情の癖、これらは長年の心の習慣が刻み込んだもので、隠し立てはできません。
この記事は、私たちの大切な時間と金を無駄にしないため、そして良質な人間関係を築くための羅針盤となるでしょう。「人間は顔に出る!」このシンプルな真実が、あなたの人生をより良い方向へと導く助けになれば幸いです。
見どころ
人を見抜く力は、人生を豊かにする最も重要なスキルの一つです。この知識を身につけることで、あなたは無用なトラブルや裏切りを避け、信頼できる仲間との絆を深めることができるでしょう。政治家としての経験、そして一人の人間としての温かい視点から語られる真実は、あなたの人間関係における「嗅覚」を磨き上げます。
あなたは、自分の人生の主導権を誰にも譲る必要はありません。この「人を見抜く知恵」は、あなたを惑わす偽りの顔を見破り、真実の友情や協力関係へと導く力となります。自分自身の直感を信じ、より豊かな人間関係を築くための一歩を踏み出しましょう。
- ビジネスにおける実用性:★★★★★
- 人間関係のトラブル回避度:★★★★☆
- 知的好奇心の満足度:★★★★★
顔に刻まれた「心の習慣」:付き合うべきでない8つのサイン
田中角栄が数多くの経験から見抜いてきた、付き合ってはいけない人の顔に現れる8つの特徴について、具体的に見ていきましょう。「なるほど!」と感じる、現場でのエピソードと合わせて解説します。
威圧的な目つき:恐れの裏返しを見抜け
相手を威嚇し、議論を嫌がる「威圧的な目つき」。これは、実は恐れの裏返しであると田中角栄は指摘します。自分に自信がないからこそ、先手を打って相手を黙らせようとするのです。彼らは学歴、地位、金といったもので人を測り、自分のほうが上だと決めつけています。
- 特徴: その人と目があった瞬間、圧迫感を感じるかどうか。まるで試されているような、戦いを挑まれているような感覚になる。
- 本質: 議論になると自分の無能がバレるのを恐れる。冷たさと恐れしかなく、内心ビクビクしている証拠だ。
本当に実力のある人の目は、厳しくても温かみがあるものです。威圧的な目に冷たさと恐れしかないのは、その人が内心ビクビクしている証拠。
「君の目を見ていると俺を敵だと思っているようだが。しかし俺たちの敵は国民の貧困だ」という言葉のように、真の目的を共有すれば、威圧的な光が消えることもあります。恐れる必要はありません。
【新潟時代の教訓】: 建設業時代、威圧的な目つきで職人を黙らせた現場監督がいました。技術は分からないくせに職人を睨みつけて黙らせた結果、職人たちが萎縮して危険な箇所の報告がなくなり、事故が多発しました。威圧は、コミュニケーションと安全性を破壊します。
ひねくれた口元:皮肉と軽蔑の表れ
人の本性は口元に現れる。特に危険なのは、いつも片方の口角だけが上がっている人です。一見笑っているように見えますが、実は皮肉や軽蔑の現れなのです。「若いね、関心だ」と言いながら口の片端がクイっと上がるのは、明らかに小馬鹿にしている証拠です。
- 特徴: 言葉では褒めていても、口元が歪んでおり、本心ではけなしているのが伝わる。「面白い」という言葉に「馬鹿げている」という意味を込めているのがまるわかりだ。
- 本質: 長年の不満や妬みが積み重なって素直な気持ちを表現できない。人間関係を協力ではなく競争だと思っている。
なぜそうなるのでしょうか。それは、本当は自分も認められたいのに、プライドが邪魔をして素直になれないからです。その結果、他人の成功を素直に喜べなくなり、歪んだ心が口元に現れます。こういう人は、相手をけなすことで自分が優位に立とうとしますが、人間関係は競争ではありません。
もし出会ったら、その人の心の痛み、つまり誰よりも認められたがっていることを理解してやることです。適度な距離を保ちながら、相手の良いところを見つけて褒めてやるのが一番いい対処法になるでしょう。
【競争か協力か】: 田中角栄は、競争相手だった地元の社長に「俺たちは競争相手じゃない。一緒に新潟を発展させる仲間だ」とはっきり言いました。人間関係は、相手を高め合うための協力であるべきです。
虚ろな瞳:心が死んだ人の危険性
目に光がない人ほど危険なものはありません。なぜなら、そういった人はすでに心が死んでいるからです。生きているけれど魂が抜けている。だから何をするかわからないのです。
通産大臣時代に会った、公害対策について全く感情のない返事をする化学会社の社長の目は、まさに深い井戸の底を覗いているようでした。その会社で、後に大きな公害事故が起きました。
- 特徴: 目に何の感情もなく、こちらの質問に定型的な返事をするだけ。こちらまでエネルギーを吸い取られるような感覚になる。
- 本質: あまりにも多くの失敗や挫折を経験した、または責任の重さに耐えきれず感情をシャットアウトしてしまった。感情を失うと人の痛みが分からなくなる。
感情を失ったリーダーほど危険なものはありません。なぜなら、人の痛みが分からなくなるからです。田中角栄は、ロッキード事件で全てを失いかけた時でも、感情だけは失わないよう心がけたと言います。
怒る時は怒る、悲しい時は悲しむ。それが人間です。虚ろな瞳の人を見ると、こちらまでエネルギーを吸い取られるような感覚になります。もし周りにいたら、できるだけ関わらない方がいい。ただし、どんなに辛いことがあっても、目の光だけは失わないでください。それが人間らしく生きる証なのです。
険しい眉間:「がんばるシワ」と「文句シワ」の違い
眉間に刻まれたシワには、二つの種類があります。それは、「がんばるシワ」と「文句シワ」です。総理になって眉間に深いシワが刻まれた田中角栄は、自身のシワが「どうすれば国民を救えるか」という苦悩から生まれたものだと語りました。
- がんばるシワ: 何かを成し遂げようと必死に考えている時にできる。困った顔をしていても目に力があり、信頼できる。
- 文句シワ: 不平不満ばかり言っている人にできる。目も死んでいて、どうせダメだという諦めしかない。
石油ショックの緊急会議で、「何をやっても無駄です。前例がありません」と言う官僚のシワは、どうすれば責任を逃れられるかという保身から生まれたシワでした。見分け方は簡単です。
その人に「いい天気ですね」と話しかけてみてください。頑張るシワの人は一瞬でも表情が和らぐが、文句シワの人は天気の話でさえ眉間のシワが深くなります。眉間のシワは、真剣に生きている証拠です。それが何かを成し遂げようとするシワなら、むしろ誇りに思うべきではないでしょうか。
【見分け方のコツ】: 眉間のシワが「がんばるシワ」か「文句シワ」かを見分ける簡単な方法は、その人にポジティブな話題を振ってみることです。前者は一瞬でも表情が緩みますが、後者は話の内容にかかわらず、文句を言うための構えを崩しません。
冷ややかな表情:感情を封じた人への対処法
氷のように冷たい表情の人は、感情がないわけではありません。実は心のなかでは激しく動揺している。ただ、弱みを見せたくない、相手につけ込まれたくないという恐れから感情を封じ込めているのです。
日中国交正常化の交渉で、熱い平和の重要性を語っても「検討いたします」と終始石の仏像のような顔をしていた中国の高官がその例です。
- 問題点1: 周りから避けられる。感情が読めない人とは誰も深く付き合いたがらない。
- 問題点2: 誤解される。何を考えているかわからないから勝手な憶測をされてしまう。
- 問題点3: チャンスを逃す。感情が伝わらないとそのタイミングをつかめない。
冷ややかな表情の人に出会ったら、その人の本当の気持ちを引き出してやることです。「率直にどう思いますか? 本音を聞かせてください」と積極的に働きかけてみましょう。案外心の奥では熱いものを持っているかもしれません。ただし、何度働きかけても反応がないなら深く関わらない方がいいでしょう。感情の通わない関係に時間を使うのはもったいないからです。
作られた笑顔:営業・びくびく・だましの3パターン
政治家にとって笑顔は大切な道具ですが、その笑顔が本物か偽物かで全てが決まります。作り笑いは、その裏に隠された意図があるため、注意が必要です。
選挙の応援に行った際、口は笑っているのに目が全然笑っていない候補者の不自然さに角栄氏は気づきました。楽屋に戻るとその候補者は豹変し、スタッフに怒鳴りつけていたのです。
- 営業スマイル: 相手から何か欲しい時の笑顔。目的が達成されるとすぐ消える。
- ビクビクスマイル: 怒られたくない時の笑顔。不安だからとりあえず愛想を振りまく。
- 騙しスマイル: 相手を油断させる時の笑顔。最も悪質で危険だ。
作り笑いを見分けるコツを教えましょう。まず目を見ること。本当の笑顔は目尻にシワができますが、作り笑いは口だけで目は笑っていません。
次にタイミングを見ること。本当の笑顔は自然に生まれますが、作り笑いは意識的に作るため会話とズレることがあります。最後に持続性を見ること。用が済むとパッと消えるのが作り笑いの特徴です。作り笑いの人に騙されず、その人の本性を見抜くことが重要です。
【見抜く3つのコツ】: 目(目尻のシワ)、タイミング(自然さ)、持続性(余韻があるかどうか)をチェックすることで、作り笑いを見破ることができます。重要な約束は、作り笑いをする人とはしないほうが賢明です。
落ち着かない視線:嘘をつく人の特徴
ある男がロッキード事件の最中に破格の条件で資金援助を申し出てきましたが、その男と話している間、角栄氏は違和感がありました。
視線が全く定まらないのです。窓の外を見たり、時計を見たり、キョロキョロと周りを見回したり。その瞬間、「こいつは嘘をついている」と確信したと言います。案の定、その男は週刊誌の記者と通じていました。
- 逃げたい視線: 責任から逃れたい時。問題が起きても自分のせいじゃないと言いたがる。
- 騙したい視線: 相手を騙そうとしている時。嘘がバレないか常に周りを警戒している。
- 自信ない視線: 迷いがある時。本当にこれでいいのかと不安だから視線が安定しない。
人間は嘘をつく時、心の奥で罪悪感があるため、相手の目を見続けることができません。視線が泳ぐ人への対処法は、まずその人の話を鵜呑みにしないこと。必ず裏を取ることです。次に重要な約束や契約は避けましょう。
後で「そんなことは言っていない」と言われる可能性が高いからです。ただし、単に緊張しているだけの人見知りなのかもしれないことも忘れてはなりません。重要な話の時だけ視線が泳ぐなら、嘘をついている可能性が高いと判断すべきです。
無関心な顔:最も恐ろしいタイプの正体
最後に話すのは最も恐ろしいタイプかもしれません。無関心な顔をした人です。これまで話してきた7つのタイプはまだ感情がある証拠がありましたが、このタイプは感情そのものが死んでいます。
災害で住民が苦しんでいるのに、終始人形のような顔で「そうですね」「関係部署に伝えておきます」と他人ごとのような返事をする市長の例は、その恐ろしさを示しています。
- 問題点1: 責任感がない。自分の立場や役割を理解していない、またはやる気がない。
- 問題点2: 人の気持ちが分からない。他人の痛みや喜びを自分のこととして感じられない。
- 問題点3: 想像力がない。自分の行動または何もしないことが他人にどんな影響を与えるか想像できない。
悪意がある人より始末が悪いのは、悪意がある人とはまだ話し合いの余地があるが、無関心な人とは話し合いにならないからです。政治家にとって無関心は最大の罪です。国民の生活に関心を持たない政治家など存在する価値がありません。
無関心な人への対処法は、実は簡単です。関わらないことです。他のタイプの人ならまだ改善の余地がありますが、本質的に無関心な人は変わることがありません。時間とエネルギーの無駄です。
ただし、もしその人があなたにとって非常に重要な立場にいる場合(同志、配偶者、親など)は、その人の無関心を前提として対策を立てることです。期待しないこと。自分で何とかすること。君たちはいつも何かに関心を持って生きてほしい。それが人間らしく生きるということなのです。
【最大の罪は無関心】: 田中角栄は、「政治家にとって無関心は最大の罪だ」と断じています。これはリーダーシップ全般に言えることです。関心を持つことが、責任感を持ち、想像力を働かせ、他者に寄り添う第一歩だからです。
本物と偽物を見分ける目を養う
人との出会いは、皆さんの運命を大きく左右するものです。だからこそ、どんな顔をした人と付き合うか、それを見極める「本物と偽物を見分ける目」を養ってもらいたいのです。今日お話しした性格の悪い顔の8つの特徴が、皆さんの人生を少しでも良い方向に導く助けになったなら、これ以上の喜びはありません。



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