世間の男が見向きもしない、8歳年上の女性を伴侶に選んだ一人の男がいました。新潟の貧しい農家出身で、高等小学校卒。学歴もコネもない彼を、日本のトップである総理大臣にまで押し上げた力は何だったのでしょうか。彼は断言します。「この女性こそが俺の人生を変えてくれた」と。
その男、田中角栄が、51年間にわたる結婚生活で身をもって学んだ、「絶対に手放してはいけない異性の条件」は、小手先の恋愛テクニックではありません。それは、人生の荒波を二人で乗り切るための、人間としての本質的な哲学です。
本記事では、彼が人生をかけて掴んだ、パートナー選びの真髄となる7つの教訓を、ユーモアと共感を交えながら解説します。あなたの残りの人生の豊かさは、この「見極め」にかかっているかもしれません。さあ、角栄流の泥臭くも深い愛情哲学に触れてみましょう!
見どころ
この教訓は、結婚生活を単なる共同生活から、逆境に強い「人生の共同事業体」へと進化させます。派手な愛情表現よりも、日常の小さな信頼の積み重ねが、最高の人生を築くための土台となります。
- 人生の逆境耐性:★★★★★
- 家庭の温かさ持続度:★★★★★
- 自己成長の促進力:★★★★☆
苦労を知っている人を選べ
本当に手放してはいけない異性の第一の条件は、苦労を知っていることです。角栄氏が妻・はなを選んだ時、世間は8歳年上の彼女に「なんでそんな女性を」と反対しました。しかし、彼は表面的な条件ではなく、その本質を見抜く目を持っていました。
彼がまだ青二才の頃、下宿先の坂本家で、朝早くから夜遅くまで黙々と働き、家族のために自分を後回しにするはなの姿に、本物の強さを見たのです。結婚後、事業を始めた頃は、従業員の給料を払うのがやっとで、夫婦で一日主食だけで我慢することもあったと言います。
ある日、お金が足りず角栄氏がため息をついていると、はなは黙って自分の着物を出してきて、「これを質に入れましょう」と言いました。何の文句も言わず、ただそう言っただけ。この覚悟の重さを、あなたは理解できるでしょうか。
苦労を知らない女性は、太陽が照っている時は綺麗な花を咲かせますが、嵐が来ると真っ先に折れてしまいます。しかし、苦労を知った女性は、嵐の中でも踏ん張って相手と一緒に立ち続けようとします。「どんなことがあってもあなたと一緒に歩んでいきます。」という妻の言葉には、迷いも甘えもなく、ただ覚悟だけがありました。
人生は順風満帆な時ばかりではありません。病気、失業、様々な困難がやってきます。本当に大切なのは、困った時に手を差し伸べてくれる相手。一緒に人生の重みを背負ってくれる相手なのです。すでに隣にそういう女性がいるなら、その価値を改めて噛みしめるべきでしょう。
毎日の小さな愛情を大切にする相手を選べ
第二の条件は、毎日の小さな愛情を大切にする相手です。角栄氏は政治家になってからは、毎晩のように豪華な料理が並ぶ会合や接待から帰る時間が夜中を過ぎていました。それでも彼は、どんなに遅くなっても必ず自宅に帰りました。なぜなら、家で待っている妻が、彼のために毎晩温かい食事を用意して待っていてくれるからです。
玄関の戸を開けると、妻は必ず「お疲れ様でした」と迎えてくれ、すぐに彼の好きなチャーハンを作り始めました。外でどんな豪華な食事をしても家庭の味には敵いません。なぜなら、その料理には愛情が込められているからです。妻は彼の好みをすべて覚えており、その日の体調に合わせて味を調整してくれました。
チャーハンを食べながら、妻は角栄氏の政治の複雑な話や、人間関係の悩み、国の将来への不安など、どんな話でも最後まで真剣に聞いてくれました。この何気ない時間が、彼にとってはどんな会議よりも大切でした。
「言ってらっしゃい」「お帰りなさい」「お疲れ様」。こんな当たり前の言葉が、どれだけ人の心を支えるでしょうか。これらの毎日の小さな優しさを「当たり前」だと思って軽く見る人は、いずれ大切なものを失います。真の愛情は派手な表現よりも、日常の中に変わらず続ける小さな心遣いにあるのです。
【角栄の家族愛】: 政治家として多忙を極めた角栄氏ですが、どんなに遅くなっても必ず自宅に帰ることを習慣としていました。これは、妻の愛情に報いるためだけでなく、家庭に帰ることが彼の精神状態を整えるためのルーティンでもあったからです。家庭の温かさこそが、彼の戦い続けるエネルギー源だったと言えます。
夫婦一緒を誇りに思う相手を選べ
第三の条件は、夫婦一緒を誇りに思う相手です。角栄氏が郵政大臣に就任した際、彼は前例を破り、官僚たちを招いたパーティーに「夫婦同伴で来い」と命じました。彼は、夫婦は一心同体であり、旦那の仕事を理解し、支えてくれる女房がいるからこそ、男は本当の力を発揮できると確信していたからです。
妻は角栄氏の隣に立って、官僚の女房たちと自然に会話をしました。政治の難しい話は分からなくても、同じ主婦として共感できることがあったのです。「角栄も家では普通の男ですよ。靴下は脱ぎっぱなし、新聞は散らかしっぱなし」と笑い話をする妻の姿を見た時、角栄氏は「この女房と一緒だからこそ俺は政治家として成り立っているんだ」と思ったと言います。
夫婦の中でうまくいかなくなる典型的なパターンは、旦那が出世すると女房を置いてけぼりにしてしまうことです。「お前は家のことだけやっていればいい」と、公の場に連れ出さなくなると、夫婦の間に深い溝ができます。女房は自分が重荷になっていると感じ、旦那は女房を恥ずかしいと思うようになるのです。
しかし、角栄氏は妻を恥ずかしいと思ったことは一度もありません。それどころか、妻こそが彼の人間性を保ってくれる存在だと確信していました。どんなに偉くなっても、家では普通の夫として扱い、調子に乗りそうになるとさりげなく「あなたは偉くなったかもしれませんが、私にとってはいつまでも昔の角栄さんです」と諭してくれる。相手の成功を一緒に喜びながらも、決して甘やかさない、真のパートナーを選びましょう。
約束を守り抜く覚悟のある相手を選べ
第四の条件は、約束を守り抜く覚悟のある相手です。角栄氏は結婚する際、妻と3つの約束を交わしました。
- 寝ていけと言わないこと。(愛人と家に泊まらないこと)
- 足蹴にしないこと。(女性としてぞんざいに扱わないこと)
- 二重橋を渡ることがあれば同伴すること。(人角の地位になったら必ず一緒にいること)
この約束を、彼は51年間一度も破りませんでした。特に3つ目の約束は、彼が総理大臣になった時に果たされ、妻と一緒に天皇陛下に拝謁しました。世間の反対があっても、彼は約束を守ったのです。約束というのは、その人間の信用そのものだからです。
小さな約束でも破るものは、大きな約束も必ず破ります。逆に、小さな約束を守り続けるものは、人生最大の約束も守り抜きます。「昔の約束なんてもう古い」「状況が変わったから仕方ない」と、言い訳をして次々と約束を破る男は、女房の心を完全に離してしまいます。「あなたの言葉はもう信じられません」と言われたら、夫婦関係は終わりです。
約束を守り続ける男は、信用を失いません。そして、相手もまた「どんなことがあっても支える」という結婚の約束を守ってくれます。病気の時も、政治的に追い詰められた時も、妻が彼から離れなかったのは、愛情だけでなく、約束を守るというお互いの信念があったからに他なりません。守れていない約束はないか、今一度振り返り、「守り直すこと」から始める勇気を持ちましょう。
君を立ててくれる相手を選べ
第五の条件は、君を立ててくれる相手です。角栄氏は「外で遊んでもいいから、母ちゃんを大切にしろ」と後輩によく言いました。この言葉の真意は、男は外でどんな関係を持とうとも、最終的に帰る場所は家庭であり、その家庭で君を本当に立ててくれる女性を大切にしろということでした。
妻は角栄氏を立てることの天才でした。人前では決して彼の意見に反対しません。たとえ彼が間違ったことを言った時でも、その場では黙っていて、家に帰ってから二人きりの時に優しく指摘してくれました。「角栄さんの決めたことならきっと正しいです。私は信じています」と、彼の背中を押してくれたのです。
夫を立てるどころか、人前で「うちの主人は本当にダメで…」と平気で夫をけなす女性がいますが、これは夫の自信を奪い、仕事でも力を発揮できなくしてしまいます。立ててくれる女性と一緒にいると、男は「俺にはこの女性がついている」という安心感を得て、困難に立ち向かう勇気を与えられます。
しかし、これは盲目的な支持ではありません。妻は彼の短気なところや、人の話を最後まで聞かないところもよくわかっていました。それでも人前では言わず、彼の良いところを伸ばし、悪いところを陰で支えて直していく。これが本当に男を立てるということなのです。あなたを立ててくれる女性は、あなたの最高の味方です。その価値を認識し、大切にしなければいけません。
お互いを高め合える相手を選べ
第六の条件は、お互いを高め合える相手です。角栄氏は「夫婦は一緒に成長していかなければいかん」と言います。どちらか一方が成長を止めてしまうと、子供が育った後、二人の間には会話がなくなり、共通の関心事もないため、同じ家にいながらまるで他人のような関係になってしまうからです。
角栄氏と妻は、お互いから学び続けました。角栄氏は妻から人への優しさや細やかな心遣いを学び、妻は夫から世の中の動きや人間関係の機微を学びました。角栄氏は、学歴がない自分の短所を妻が「角栄さんには本では学べない人間の心が分かる力があります」と、長所に変えて見せてくれたことに感謝しています。
逆に、角栄氏も妻に国の仕組みや世界情勢を時間をかけて説明し、妻も真剣に聞くことで政治に関心を持つようになりました。70歳を過ぎても、彼らは「今の若い人たちはどんなことを考えているんだろうか」と新しいことを話し合っていました。
お互いを高め合える関係とは、相手の成長を喜び、刺激し合える関係です。年を取ったからといって学びを止めず、一緒に本を読んだり、旅行に行ったり、新しい趣味を始めたり、「一緒に成長していこう」という気持ちを持ち続けることが大切です。お互いを高め合える夫婦は、年を重ねるほどに絆が深くなるのです。
【「政治家と言うより宗教家だね」】: 角栄氏の盟友であり、ライバルでもあった大平正芳氏は、角栄氏のことをそう評しました。大平氏のような知性と教養を持つ人物との交流は、学問的な素養がなかった角栄氏にとって、お互いを高め合う「知的な夫婦」のような関係だったと言えます。夫婦間でも、仕事のパートナー間でも、異なる視点を持つ相手から学び続ける姿勢が大切なのです。
最後まで支え合う覚悟を決めた相手を選べ
最後に、そして最も重要な条件は、最後まで支え合う覚悟を決めた相手です。昭和60年、角栄氏は脳梗塞で倒れました。言葉がうまく出ず、体が思うように動かない状態になった時、最初に目に入ったのは妻の顔でした。「角栄さん大丈夫ですよ。私がついてます」という妻の目に、迷いはありませんでした。
医者から病状を聞いた時も、妻は「この人と一緒に歩んできた51年間、楽なことばかりじゃありませんでした。今度も一緒に乗り越えます」ときっぱりと答えました。それからの日々、妻は毎日病院に通い、言葉の練習、歩行の練習と、すべてに付き添ってくれました。世間が「角栄はもう終わりだ」と冷たい目を向ける中で、妻だけは決して諦めず、「この人の生命力は人一倍強いんです」と言い続け、彼を支え続けたのです。
健康な時だけ一緒にいるのは夫婦ではありません。病める時も、弱った時も、一緒に歩み続ける。それが本当の夫婦です。病気になった途端、配偶者に見捨てられた男は、病気の苦しみよりも孤独の辛さに打ちのめされます。
妻は角栄氏が政治生命を失っても、より一層彼を大切にしてくれました。「これからは二人の時間をゆっくり過ごしましょう」と、彼と向き合ってくれました。最後まで支え合う覚悟を決めた相手こそが、人生最高のパートナーなのです。あなたの隣の人は、あなたが倒れた時も支えてくれるでしょうか?そして、あなたには、その相手を最後まで看病する覚悟があるでしょうか?その覚悟こそが、夫婦の絆の深さを決めるのです。
真のパートナーと歩む人生の豊かさ
以上が、田中角栄が51年間の結婚生活で掴んだ、絶対に手放してはいけない異性の7つの教訓です。人生の中盤に差し掛かった今、本当に大切なものが何かがわかってきたはずです。それは、見た目や条件ではなく、隣で一緒に歩んでくれる信頼できるパートナーなのです。
本当に大切にすべきは、困った時に手を差し伸べてくれる相手。あなたの夢を一緒に追いかけてくれる相手。そして何があっても最後まで添い遂げる覚悟を持った相手です。



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