秒速5センチメートル:映画だけではわからない!小説で明かされる真実5選を徹底解説

秒速5センチメートル:映画だけではわからない!小説で明かされる真実5選を徹底解説 漫画アニメ考察

今回は、映画だけでは決して見えてこない、小説版で明かされる真実について深掘りしていきます。

「映画と小説を一緒にするな!」という意見もあるかもしれません。しかし、新海誠監督自身が、映画の結末にショックを受けた観客の声に応える形で小説を執筆したと語っています。このことから、この二つの作品は同じ世界観を共有するものとして扱っても良いでしょう。

小説版には、映画では描かれなかった数々の詳細が記されています。貴樹と明里が交わすはずだった手紙の内容、貴樹の大学時代の恋愛遍歴、そして彼がなぜ会社を辞めたのか。これらを知ることで、私たちは登場人物の心の奥底を深く理解することができます。今回は、そんな小説版で明らかになる真実の中から、特に重要な5つを厳選してご紹介します。

作品の見どころ

  • 手紙に込めた本当の想い:★★★★★
  • 貴樹の知られざる恋愛遍歴:★★★★☆
  • 大人になった彼の苦悩:★★★★★

第1話『桜花抄』:二人が書いた手紙の真実

映画で風に飛ばされてしまった貴樹の手紙と、明里が渡さなかった手紙。その全文は小説版で初めて明らかになります。読み進めていくと、二人の心情がまるで手に取るように伝わってきて、胸が締めつけられます。

明里から貴樹へ宛てた手紙の内容

明里は、慣れない環境でも貴樹との思い出を心の支えにしていました。彼女は貴樹との別れを明確に意識しており、「私はこれから一人でもちゃんとやっていけるようにしなくてはいけません」と、自立への強い意志を綴っています。

そして、「貴樹君は絶対に立派で優しい大人になると思います」と、貴樹への深い信頼と愛を表現しています。彼女は、貴樹が想像する以上に、ずっとずっと大人になっていたことがわかります。

貴樹から明里へ宛てた手紙の内容

一方、貴樹の手紙からは、どこか未練を断ち切れない曖昧な感情が見て取れます。「いつかずっと先にどこかで偶然にあかりにあったとしても恥ずかしくないような人間になっていたい」という一文は、彼がまだ明里との再会を心のどこかで期待していることを示しています。ここが明里との決定的な違いかもしれません。

最も重要なのは、明里が「渡さない」ことを選択し、貴樹が「渡せない」状況だったということです。明里はキスをしたことで、もうこの関係は終わりだと理解し、手紙を渡す必要はないと考えました。

もし、この時明里が手紙を渡していたら、貴樹の青春はまた違ったものになっていたかもしれませんね。

第2話『コスモナウト』:貴樹の残酷な行動

映画では、貴樹と花苗のすれ違いが切なく描かれていますが、小説版では貴樹の衝撃的な行動が明らかになります。

なんと、貴樹は花苗の気持ちに気づいていました。そして、東京へ引っ越す際、彼が花苗にだけ出発時間を教えていたという事実が明かされます。これは、彼女の想いを利用し、別れを告げる場を設けていたのかもしれません。

この事実を知ると、映画の印象がガラッと変わり、貴樹の言動がより残酷に感じられます。しかし、同時に彼は花苗の存在に心のどこかで支えられていたようにも見えますね。

豆知識:小説の中で、貴樹は「まっすぐに遠くの明里を見つめている」と表現されています。彼は「明里」という文字を見るたびに、彼女の姿を思い出していたのかもしれません。文字を読むことで映像以上に想像力が掻き立てられる。これこそ小説の醍醐味ではないでしょうか。

第3話『秒速5センチメートル』:貴樹が仕事を辞めた理由

映画では、なんとなく仕事を辞めたように見え、ダメな男感を漂わせていた貴樹。

しかし、小説版では彼の社会人生活の過酷さが描かれています。彼は偏差値の高い大学を卒業し、IT企業に就職。終電帰りが当たり前の過酷な日々、意見の合わない上司、そして彼女とのすれ違い。精神をすり減らした結果、彼は仕事を辞めるに至ったのです。

映画版で語られていた「日々弾力を失っていく」という感覚は、まさにこの過酷な労働環境から生まれたものだったのですね。貴樹も、僕らと同じように、社会の荒波にもまれて苦労していたことが分かります。

第4話:貴樹の知られざる恋愛遍歴

小説版では、貴樹の大学時代の恋愛遍歴が詳細に描かれています。映画では見ることのできなかった彼のプライベートな側面が、彼の心情をより深く理解する手がかりとなります。

  • 初めての彼女:同じ大学でバイトをしていた女の子。一年半付き合いますが、彼女は「貴樹くんはそれほど私を好きじゃない」と感じ、別れを告げられます。
  • 二人目の彼女:塾講師のバイトで知り合った女性。「心が歪んでおり、同じく歪んだ心を持つ貴樹と急速に仲が深まった」と書かれています。燃えるように深く愛し合った後、お互いを傷つけ合う関係になってしまったようです。
  • 三人目の彼女(水野理紗):映画にも登場した、会社で知り合った女性。お互いに冷めてきた頃、水野さんが後輩と楽しそうに話しているのを見て、貴樹は鬼のように嫉妬したと記されています。この出来事を最後に、二人は会わなくなります。「千通のメールをやり取りしても、心の距離は一センチも縮まらなかった」という有名なシーンは、この別れに繋がっていくのです。

小説版から見える真実と貴樹の笑顔

今回ご紹介した5つの真実を知ってから映画版を観ると、また違った感動が生まれるはずです。明里がどれだけ大人だったのか、貴樹がどれだけ苦悩を抱えていたのか。

そして、最後の踏切のシーンで彼が見せた笑顔は、過去の思い出から解放され、ようやく「自立」できたことの証だったのだと理解できます。

映像の美しさだけでいえば、『君の名は。』や『天気の子』が上回るかもしれません。しかし、登場人物の内面を深く掘り下げた『秒速5センチメートル』は、まさに新海誠作品の最高傑作と言えるでしょう。

小説版は2時間ほどで読み終えられる内容なので、ぜひ手に取って、映画とセットで楽しんでみてください。

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