AI時代の覇者へ!ソフトバンクグループ、過去最高益を叩き出した「物理的AI」戦略の全貌とは

AI時代の覇者へ!ソフトバンクグループ、過去最高益を叩き出した「物理的AI」戦略の全貌とは 株式投資

今回のソフトバンクグループの決算発表は、AI時代を牽引するリーディングカンパニーとしての揺るぎない地位を明確に示しました。AI投資の成功、主力事業のアームの躍進、そして未来を見据えた「物理的AI(フィジカルAI)」への大胆な戦略的投資は、同社の今後のさらなる成長を強く期待させるものです。

特にOpenAIへの投資がもたらした驚異的な利益は、その先見の明と実行力を物語っています。株式分割による投資機会の拡大も、多くの投資家にとって朗報でしょう。私たちは、ソフトバンクグループが描く「情報革命で人々を幸せに」という壮大なビジョンが、現実のものとなる日を楽しみにせずにはいられません。

見どころ

  • OpenAI投資の収益力と未来への期待:★★★★★
  • フィジカルAI戦略の具体的な進展:★★★★☆
  • アーム事業の堅実な成長と技術革新:★★★★☆

ソフトバンクグループ、AI投資で過去最高益を達成!

2026年3月期第2四半期決算説明会において、ソフトバンクグループ(以下、SBG)は、AI関連投資の好調を背景に、歴史的な好業績を記録しました。特に純利益は前年同期比で約2.9倍の2兆9240億円に達し、過去最高益を大幅に更新するという驚くべき結果となりました。この業績は、AIへの投資が単なる夢物語ではなく、具体的なリターンを生み出す段階に入っていることを如実に示しています。

驚異的な決算ハイライト

SBGの決算は、以下の4つの主要なポイントでハイライトされました。

  • OpenAIへの投資厚生価値が大幅に増加: 投資後、OpenAIの価値は14.6ビリオンドル(約2.2兆円)増加し、全体の投資損益を大きく牽引しました。
  • 上半期の純利益が過去最高を更新: 2.9兆円という数字は、SBGの歴史上最高益であり、AI関連投資の成果が具体的に表れた形です。
  • ネットアセットバリュー(NAV)が33.3兆円を記録: SBGの最重要指標であるNAVも、9月末時点でこの水準を達成し、さらにその後も成長を続けているとのことです。
  • 強固な財務健全性: ローン・トゥ・バリュー(LTV)は16.5%と非常に低い水準を維持し、手元流動性も4.2兆円と潤沢であり、投資余力と安全性を確保しています。

知っておきたい!NAV(ネットアセットバリュー)とLTV(ローン・トゥ・バリュー):

NAV(Net Asset Value):時価純資産と呼ばれる指標で、保有資産の時価総額から有利子負債を差し引いた、純粋な資産価値を示すものです。投資会社の真の価値を測る上で非常に重要視されます。

LTV(Loan-to-Value):有利子負債を保有資産で割った値で、企業の借入依存度や財務健全性を示す指標です。数値が低いほど財務が安定していると評価されます。SBGでは25%未満を安全な水準としており、今回の16.5%はその目標を大きく下回る「安全すぎるレベル」と評されています。

未来を拓く「フィジカルAI」戦略

SBGが現在最も注力しているキーワードの一つが「フィジカルAI」です。これは、ロボットや自動運転といった物理的な機械とAIが一体化し、複雑な行動を自律的に行えるようになる時代を指します。

SBGは2010年に発表した「新30年ビジョン」で、「情報革命で人々を幸せに」というメッセージを掲げていました。当時から、ロボットが社会に溶け込み、人類と共に未知の課題を解決する時代を予見しており、そのビジョンがいよいよ現実味を帯びてきているのです。今回のABBロボティクス部門買収合意も、このフィジカルAI戦略の大きな一本となるものと位置付けられています。

SBGはASI(人工超知能)の実現に向け、以下の4つの分野で具体的な取り組みを進めています。

  • 半導体分野: アーム(Arm)がチップ分野でビジネスモデルを拡大。
  • データセンター: スターゲートプロジェクトが中核。
  • 電力: SBエナジーが担当。
  • ロボティクス: 今回のABBロボティクス事業の加わりが極めて大きな戦力に。

OpenAIが牽引する成長エンジン

SBGの好決算を語る上で欠かせないのが、OpenAIへの投資です。その貢献度は計り知れません。

投資の歴史と驚愕のリターン

SBGがOpenAIに最初に投資したのは昨年の9月。以来、OpenAIは何回も投資家を集めるラウンドを実施し、直近の10月のラウンドでは500ビリオンドル(約75兆円)という未上場企業としては世界最大級の企業価値で投資家を招集しました。この結果、SBGのOpenAIへの累計投資コスト10.8ビリオンドルに対し、評価額の増加分と今後の払い込み予定分を合わせた構成価値は26.5ビリオンドルとなり、結果として14.6ビリオンドル(約2.2兆円)もの巨額な投資利益をもたらしました。

OpenAIの驚異的な評価額:

未上場企業でありながら500ビリオンドル(約75兆円)という評価額は、世界中のスタートアップの中でも突出しています。これは、OpenAIが提供する生成AIサービスが、産業構造や人々の生活を根本から変える可能性を秘めていると市場が評価している証拠と言えるでしょう。この評価額は、世界の時価総額ランキング上位の上場企業にも匹敵する規模です。

OpenAIは組織再編も完了し、A利益事業としての「OpenAIグループPBC」が設立され、SBGはビジョンファンドを通じて11%の持株比率を保有しています。また、週刊アクティブユーザー数は8億人を超え、アプリのダウンロード数も他社を圧倒しており、その成長性は疑う余地がありません。年間経常収益(ARR)も大幅な増加を見せており、今後も課金ユーザーの伸びとともに財務面での大きなインパクトが期待されています。

スターゲートとSBAI Japan、AIインフラの構築へ

SBGはOpenAI、そしてオラクルと共同で「スターゲートプロジェクト」を進めています。これは、AI向けのメガデータセンターを迅速に整備するためのもので、総額500ビリオンドル(約75兆円)、10GW規模の投資が計画されています。

さらに、日本国内では通信事業のソフトバンクと共同で、AIエージェントの開発と顧客向けサービス提供を目指すジョイントベンチャー「SBAI Japan」を発足させました。これはSBGとソフトバンク(通信)、そしてOpenAIが50%ずつ出資する形で、2026年からのサービス提供を目指しています。日本の企業や顧客が最先端のAI技術を享受できる未来が、すぐそこまで来ていることを示唆しています。

アーム、半導体市場をリードする確かな成長

SBGの主力事業の一つであるアーム(Arm)も、過去最高となる売上高と堅実な利益成長を達成し、その存在感を改めて示しました。

記録的な売上と利益

アームは、ライセンス系とロイヤルティ系の両収入が過去最高を記録し、売上高合計も順調に拡大しました。調整後の営業利益も前年同期比14%増と力強い成長を見せています。研究開発投資を積極的に行いながらも、それを上回る増収効果で増益を達成しており、そのビジネスモデルの強靭さが伺えます。

革新的な技術と将来展望

アームの成長を支える技術の一つが「コンピューターサブシステム(CSS)」です。複数のアームテクノロジーを組み合わせることで、ロイヤリティ料率の高い収益を実現しており、マイクロソフトをはじめとする超大企業での導入が進んでいます。また、スマートフォンやノートパソコンなどのモバイル端末向けには、高性能CPU・GPU・システムIPを統合した新たなモバイル向けCSSを発表しました。これにより、AI性能が5倍向上し、電力効率も3倍向上するなど、モバイル端末上での高度なAI処理が可能になり、今後の普及が非常に楽しみな技術です。

アームのCSS(Computer Subsystem)とは?

CSSは、CPUやGPUといった複数のアーム製IP(Intellectual Property)を統合し、検証済みの状態で顧客に提供する半導体設計の「サブシステム」です。これにより、チップメーカーは設計の時間とコストを大幅に削減でき、市場投入までの時間を短縮できます。特にAIチップなど複雑な高性能チップの開発において、その効果は絶大です。

アームの業績ガイダンスでは、売上高が前年同期比25%増となる中間値12億2500万ドルを見込んでおり、将来の成長に向けた研究開発投資を継続しながらも、利益の拡大を実現できる見通しです。SBGは、このような先行投資こそが後の大きな成果につながると考えており、アームの成長戦略を強力に推進していく方針です。

「物理的AI」を現実にするロボティクスと自動運転

フィジカルAIの実現には、ロボティクスと自動運転技術の進化が不可欠です。SBGはこれらの分野にも積極的に投資を行っています。

ABBロボティクス買収で加速する未来

SBGは、世界的に有名なスイスの企業グループABBのロボティクス事業の買収に合意しました。この買収額は5.3ビリオンドル(約8000億円)にも上る大型投資です。ABBロボティクスは、売上高で業界2位、ロボット出荷台数でもFANUCに次ぐ業界2位という高い競争力を持つ企業です。

この買収により、SBGは研究開発から製造、販売、サービスまでの一貫したフルプラットフォームを手に入れることになります。世界44カ国で事業を展開し、7000人以上の従業員と50万台以上のロボット出荷実績を持つABBロボティクスがSBGグループに加わることで、ロボティクスセグメントの成長は一層加速するでしょう。

自動運転技術の進化:WebbとNuroの挑戦

自動走行(オートノマスドライビング)の分野では、イギリスのWebb社に投資をしています。Webb社の技術は、精密な高密度地図がなくても世界中の様々な国で自律走行できる点が特徴です。日本でも拠点をオープンし、短期間で日本の環境に適応し、安定的な自律走行を可能にしています。

また、SBGが古くから投資しているNuro社は、ルシッド社、Uber Eatsと共同で次世代のロボタクシープログラムを発表しました。ルシッドのEV車両とNuroの自動運転システム、そしてUberの配車プラットフォームを活用し、2026年後半には米国主要都市でのサービス提供開始を予定しています。

これらの多様なロボティクス関連投資は、ABBの買収と相まって、SBGのロボティクスセグメントの成長をさらにスピードアップさせるものと期待されています。自動運転だけでなく、物流、サービス、農業など、AIがライフスタイルやワークスタイルを変える多くの領域で、新たな価値創造を目指しています。

孫正義氏とロボットの深い縁:

SBGの孫正義氏は、20年以上前からロボット分野に深い執念を燃やしてきました。かつては感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」で知られましたが、その取り組みが現在のロボティクス技術の成長を下支えしていると五藤CFOは語ります。今回のABB買収は、まさに孫氏の長年の夢と執念が結実する形であり、彼の「火傷するぐらいの熱量」が、この分野をどこまで押し上げるのか、非常に注目されます。

強固な財務戦略と投資機会の拡大

SBGは、積極的なAI投資を支えるために、強固な財務戦略を維持しています。

盤石な財務基盤

SBGは、長年公表している財務の安全性の指標を全く変更せず、「鉄板のルール」で事業を進めています。ローン・トゥ・バリュー(LTV)は25%未満を維持し、手元流動性も少なくとも2年分の償還資金を確保しています。現在のLTVは16.5%、手元流動性は4.2兆円と、いずれも非常に健全な水準です。これは、AIという成長分野への大規模投資を、財務的なリスクを抑えながら実行できる盤石な基盤があることを意味します。

資金調達の多様な手法

今後の大規模投資に備え、SBGは多様な資金調達手法を活用しています。

  • 保有資産の活用: 約40兆円に上る保有資産(その約7割が上場株)を、売却、担保借入れ(マージンローン)、デリバティブを組み合わせた取引などで資金化。
  • デッドマーケットからの調達: 国内外のボンドマーケットやローマーケットで、多くの金融機関からの強力なサポートを受け、資金を調達。
  • ハイブリッド調達: 資本性を50%評価するハイブリッド債やローンを活用し、財務の健全性を保ちながら資金を確保。

これらの手法を組み合わせることで、OpenAIへの追加投資(22.5ビリオンドル)やABBロボティクスの買収(6.5ビリオンドル)といった第3四半期の大型投資(合計30.5ビリオンドル)に必要な資金は、すでに準備ができているとのことです。

個人投資家も注目!株式分割でアクセスしやすく

SBGは、より多くの投資家が同社株式にアクセスできるよう、1株を4株に分割する株式分割を決定しました。これにより、分割前の最低投資単位が約220万円だったものが、分割後には約56万円で投資可能となります。これは、個人投資家にとっても、成長著しいSBGへの投資機会が拡大する朗報と言えるでしょう。

質疑応答から見えてくる未来への洞察

決算説明会後の質疑応答では、投資家やメディアからの鋭い質問が飛び交いました。特に注目されたのは、AI関連株の評価と市場の過熱感に関する質問です。

AIバブル論への見解

AI関連株の株価急騰・急落の幅が大きいことから、「AIビジネスはどの段階にあるのか」「評価額は妥当なのか」「AIバブルのようなリスクはないのか」といった質問が上がりました。

五藤CFOは、AI技術がまさに今からサービス展開を進めようとするタイミングであり、市場が先読みしたり、あるいは先読みしすぎたと思って後戻りしたりするのは歴史的に見てもよくある局面だと説明しました。そして、「バブルかどうかは後から評価できること」としつつも、SBGとしては「今は投資しないリスクの方がはるかに大きい」と判断していることを明言しました。投資会社として、守りを固めながらも投資機会を逸しないよう取り組むことが重要だと強調しています。</p{p>

「キャピタルリサイクリング」の優等生?:

最近の株式市場では、資産を持ち続けずに「買って売って」を繰り返すキャピタルリサイクリングを行う企業が増えています。SBGはその先駆者とも言える存在であり、「なぜ良いタイミングで売買ができるのか」という質問も出ました。五藤CFOは、SBGが自己勘定投資とファンド投資の両方を手掛ける「投資会社」であるため、投資と回収、そしてその間を繋ぐレバレッジファイナンスを常に考慮しながら事業を行っていると説明しました。その結果が現在であり、決して「上手にやっている」という意識ではないと謙虚に語っています。

スターゲート計画と日米戦略的投資

スターゲートプロジェクトの進捗について、当初発表された5拠点のうち、ローズタウンとテキサス州ミラノ軍の2箇所にソフトバンクが深く関与するのか、またSBGとしての持ち出し分はどのくらいになるのかという質問がありました。五藤CFOは、テキサス案件は計画通り進んでおり、ローズタウン案件はAIインフラ向けの機器製造に特化するよう計画を変更していると説明しました。具体的な規模や金額については、プロジェクトの概要が固まった段階で発表するとのことです。

また、トランプ大統領来日時の日米戦略的投資に関する合意書で、SBGが電力インフラ支援に最大250億ドルを投じる計画について質問が出ましたが、これについても詳細を詰めている段階であり、現時点ではコメントを控えるとのことでした。

孫氏の「ロボットへの執念」と未来

「月刊ファクター」からの「ホークスの日本一おめでとうございます。今年の秋はゴールデンオータムですね」という問いかけに、五藤CFOは「こんなにほっとできる秋はない」と喜びを表明。しかし、孫正義氏については「ますます燃え上がっており、火傷するぐらいの熱量」で、特にロボット分野への執念は深く、ABBとの協業を通じて世界に打って出ることを楽しみにしている様子が伺えました。この「フィジカルAI」の取り組みが、私たちのライフスタイルやワークスタイルにどのような革新をもたらすのか、そして人類をどれだけ幸せにできるのか、SBGはそのリーディングカンパニーとなることを目指しています。

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