7月3日公示、20日投開票で行われる第27回参議院議員通常選挙は、私たちの国の進路を左右する極めて重要な国政選挙です。
今回の「ネット党首討論」は、各党の代表者が一堂に会し、経済、安全保障、そして若者の声といった多岐にわたるテーマで熱い議論を交わしました。
「どうせ政治なんて変わらない」「私たちの声は届かない」そう思っていませんか?
しかし、今回の討論会では、皆さんの疑問や関心を元に質問が構成され、直接党首にぶつけられました。これはまさに、インターネットが政治と私たちをつなぐ新しい架け橋となっている証拠です。この討論会を通じて、各党の政策や考え方が明らかになり、皆さんが主体的に政治に参加するための貴重な情報が提供されました。
私たちは、この「ネット党首討論」が、若者の皆さんが未来に希望を抱き、自らの手で社会をより良くしていくための一歩となることを心から願っています。
「ネット党首討論」5段階評価
今回の「ネット党首討論」は、まさに「日本を動かす」熱気に満ちた議論が繰り広げられました。特に、若者の皆さんの声が直接届く仕組みは、「シルバー民主主義」という言葉に一石を投じるものだったのではないでしょうか。未来を担う皆さんの率直な疑問が、政治家たちの本音を引き出し、日本の課題に対する真剣な議論が交わされたことは、私たち一人ひとりが希望を持つ大きなきっかけになるはずです。
この討論会は、「自分たちの未来は自分たちで創る」という意識を高める絶好の機会です。政治は決して遠い存在ではありません。皆さんの声が、社会を変える大きな力となることを、この討論会は示してくれました。
- 議論の熱量:★★★★★
- 政策の具体性:★★★★☆
- 若者へのメッセージ:★★★★★
各党の要点まとめ
政党 | 経済政策の要点 | 安全保障の要点 | 若者の声への対応 |
---|---|---|---|
自由民主党 | 賃上げと投資による成長型経済への転換、安定した社会保障の確立(消費税減税には慎重)。 | 戦後最も厳しい安全保障環境認識。日本の判断で防衛力強化。日米同盟の有効な機能維持。国連改革の必要性。 | 投票は国民の権利であり義務。政治への積極的な参加を促す。情報発信による主権者の判断支援。 |
立憲民主党 | 賃上げと雇用を軸とする経済政策。非正規雇用の正規化推進、中小企業の経営環境整備、社会保険料の事業主負担軽減。 | 必要な専守防衛に徹した防衛力整備。アメリカからの指示ではなく独立国家としての判断。弾薬や自衛隊員の待遇改善重視。 | 非選挙権の引き下げ(18歳や23歳への具体案提出)。普通選挙法の歴史を強調し、より多くの投票参加を促す。 |
公明党 | 日本独自の技術開発への投資倍増、規制緩和推進。社会保障の財源としての消費税の重要性。 | 予算ありきではない必要な防衛力の積み上げ。外交努力と対話の重視。北東アジア安全保障対話協力機構の設置提案。 | 18歳非選挙権とネット投票の実現。若者政策担当大臣の設置。奨学金問題への対応(所得控除の提案)。 |
日本維新の会 | 既得権益との戦い、規制改革。社会保険料の引き下げによる家計・企業の活性化。 | 防衛力強化と憲法9条改正の必要性。サイバー、宇宙などの新領域への対応。自衛隊の人手不足解消と待遇改善。 | 政治家が作り上げた「シルバー民主主義」からの脱却。18歳非選挙権とネット投票の実現を強く主張。 |
日本共産党 | 消費税の緊急減税と廃止。大企業・富裕層への課税強化と内部留保への課税による富の再分配。 | 外国攻撃ミサイル配備への反対。軍事対軍事ではなく外交による平和解決を重視。平和外交の徹底。 | 非選挙権の引き下げ。学生運動を評価し、学費問題や平和への声が政治を動かすと強調。 |
国民民主党 | 「新三本の矢」(手取り増、投資増、教育予算増)でGDP1000兆円達成。人・科学技術への投資重視。 | 「自分の国は自分で守る」原則。国内防衛産業の育成と人材育成。スパイ防止法強化、エネルギー自給率向上。 | 18歳非選挙権とネット投票の実現。ミニパブリックスやAIを活用した声の収集。若者の声が政策に反映される具体例提示。 |
れいわ新選組 | 消費税の廃止と徹底した現金給付。中小零細企業の活性化。 | 43兆円規模の軍拡に反対。国連憲章の敵国条項に抵触する危険性を指摘。徹底した外交と日米地位協定の見直し。 | 現状での希望は難しいが「あなた自身が希望」。18歳からの立候補促進と供託金制度の見直し。全世代の貧困底上げ。 |
参政党 | 国民負担率35%上限の減税。積極財政による内需拡大。AI、ものづくり、コンテンツ事業の成長戦略。 | 在日米軍体制の見直し。デジタルやドローンを活用した新しい防衛方法。国産武器・兵器の賄い。 | 16歳からの投票権と非選挙権の引き下げ。高齢者も若者の未来を考えていると強調。希望は自分たちで掴み取るもの。 |
社会民主党 | 格差と貧困の是正。食料品への消費税ゼロ、法人税の累進化など公平な税制。雇用・ケア分野への投資。 | 防衛予算の大幅な縮小。専守防衛からの逸脱と戦争する国へのシフトに反対。平和外交の徹底。 | 非選挙権の引き下げ。教育・ケアへの投資。選択的夫婦別姓やLGBTQ同性婚など多様な生き方を尊重。 |
日本保守党 | 大胆な減税。間違った再エネ政策の見直しによる電気代抑制。行き過ぎた移民政策の是正。 | 軍事力は安全保障のための「当たり前」。中国の脅威を指摘し、抑止力としての軍事力強化の必要性を強調。 | 若者の投票率の低さを指摘。日本の未来(10年後、20年後)を考えた政治。高齢者優遇政策の見直し。 |
日本の未来を占う熱い議論!ネット党首討論のポイント
今回の「ネット党首討論」では、日本の未来を左右する「経済政策」「安全保障」「若者の声」の3つのテーマが深く議論されました。それぞれのテーマで各党の代表者がどのような考えを示したのか、詳しく見ていきましょう。
経済政策:賃上げか、減税か?日本経済再生への道
中長期的な日本の経済成長を牽引する政策について、各党の考え方が大きく分かれました。あなたはどちらに「なるほど!」と感じましたか?
自民党・石破総裁:賃上げと投資が牽引する成長型経済
石破総裁は、「賃上げと投資が牽引する成長型の経済」を掲げました。これまでのコストカット型経済から付加価値型経済へと大胆に転換し、賃上げ率5.25%の実現や民間投資107兆円という過去最高の実績を強調しました。
特に、GX(グリーントランスフォーメーション)やAI、DXといった分野への投資を通じて、地方を中心とした経済成長を目指すとのことです。「賃上げする余力が企業にはある」と述べ、企業が賃上げをしてこなかった現状を指摘しました。将来への不安を払拭するためには、安定した社会保障の確立が重要であり、消費税減税には慎重な姿勢を示しました。
立憲民主党・野田代表:賃上げと雇用を軸とする経済政策
野田代表は、「賃上げと雇用を熟とする経済政策」を最重要課題と位置づけました。非正規雇用が全体の4割を占める現状を問題視し、希望すれば正規雇用になれる労働基本法の改正や、中小企業が非正規から正規への転換を経営判断できる環境整備の必要性を訴えました。
そのためには、社会保険料の事業主負担軽減が重要だと指摘。また、AIやクラウドなどの国産化を通じて、世界競争に勝てる強い経済の実現を目指すとしています。「アベノミクスでトリクルダウンが起こらなかった総括をすべきだ」と述べ、企業が儲かっても賃金に結びつかなかった現状を批判しました。
公明党・斉藤代表:独自技術と規制緩和で経済を牽引
斉藤代表は、ご自身の研究開発の経験から、「日本にしかない独自の技術」が経済を牽引すると強調しました。科学技術政策への予算と投資の倍増を訴え、日本が世界標準を先導して作っていくことの重要性を説きました。
さらに、「規制緩和」が経済成長には不可欠だとし、検索エンジンなどのオリジナル技術が日本の規制により遅れを取ってしまった例を挙げました。社会保障の財源である消費税については、社会保障と税の一体改革の精神に則り、その重要性を主張しました。
日本維新の会・吉村代表:規制改革と社会保険料改革で経済成長
吉村代表は、「既得権益と戦う規制改革」と「社会保険料を下げる改革」を経済成長の柱としました。社会保険料の引き下げは、個人の手取りを増やし消費を活性化させるだけでなく、事業主の負担を軽減することで賃上げや雇用増加、投資を促進すると説明。
これは、少子高齢化が進む日本において、経済対策としても社会保障制度改革としても重要であると述べました。また、ライドシェアや農業など、既存の業界団体に配慮する政治が新しい経済の芽を摘んでいると批判し、「自民党の体質」にメスを入れる必要性を訴えました。
日本共産党・田村委員長:消費税減税と富の偏在解消
田村委員長は、「暮らしが苦しい国民が約6割」という現状を指摘し、家計消費が経済のエンジンであると主張しました。消費税の5%への緊急減税と廃止を求め、その財源として大企業と富裕層への課税強化を提案。大企業の内部留保の一部に課税し、それを中小企業の賃上げ支援に回すことで、「富の偏在」を解消し、中長期的な経済の活性化を目指す考えを示しました。大企業の巨額の利益は働く人々と消費する人々が生み出したものであり、それを社会に還元すべきだと訴えました。
国民民主党・玉木代表:新三本の矢でGDP1000兆円
玉木代表は、「手取りを増やす」「投資を増やす」「教育予算を増やす」の「新三本の矢」で、10年間でGDP1000兆円を達成すると宣言しました。所得税の控除額引き上げによる消費活性化、働きがいのある社会の実現、徹底的な投資減税による民間投資の拡大を掲げました。
特に、人への投資や科学技術への投資を重視し、教育国債の発行により大学向け予算を現在の5兆円規模から10兆円に倍増させることを提案しました。さらに、Web3分野における暗号資産の分離課税導入により、日本に人と技術を呼び戻し、新たな成長エンジンとする考えを示しました。
豆知識: GDP(国内総生産)は、一定期間内に国内で生産された財やサービスの付加価値の合計額です。国の経済規模を示す重要な指標の一つであり、国民が豊かになったかどうかを測る目安にもなります。
れいわ新選組・山本代表:消費税廃止と現金給付
山本代表は、日本が「先進国でただ一つ30年不況が続く国」であると指摘し、コロナ禍からの立ち直り前に物価高が襲っている現状を問題視しました。「まずは徹底した消費喚起が必要」として、消費税の廃止を強く主張しました。
消費税廃止により、平均的な世帯で年間30万円、月に約2万5000円の手取りが増えるとし、これが家計を潤し、日本企業の9割以上を占める中小零細企業の息を吹き返させると説明しました。「景気が悪い時に消費税を上げる狂った国は日本だけだ」と述べ、他国は減税している現状を指摘し、既存政党の政策を厳しく批判しました。
参政党・神谷代表:減税と積極財政、内需拡大と成長戦略
神谷代表は、「税金と社会保険料の合計の国民負担率を35%を上限にキャップをはめる」という大胆な減税策を提案しました。これにより、国民が稼いだお金の3分の2を使える状況を数年間確保すると説明。
政府は積極財政で公共事業や一次産業への投資、地方公務員の待遇改善を行い、「内需拡大」を目指すとのことです。さらに、AIや自動車を中心としたものづくり、アニメやゲームといったコンテンツ事業を国家基盤事業として育成し、世界に打って出る成長戦略を組み合わせる考えを示しました。
社会民主党・福島党首:格差是正と公平な税制、雇用とケアへの投資
福島党首は、日本の社会が停滞しているのは「格差と貧困が増えているから」だとし、一人ひとりの生活を応援する政策を掲げました。食料品への消費税ゼロ、法人税の累進課税化、大企業の内部留保への課税など、「不公平税制の是正」を訴えました。雇用についても、4割がパート派遣契約社員である現状を問題視し、労働法制の入り口規制を強化し、正社員を原則とした社会の実現を目指すとのこと。
教育への投資、そして医療や介護、福祉といったケアを中心とした分野を成長産業と位置づけ、そこで働く人々を支援すると述べました。また、ジェンダー平等や選択的夫婦別姓、LGBTQ同性婚の実現にも意欲を示しました。
日本保守党・百田代表:大胆な減税と間違った再エネ政策の見直し、移民政策の是正
百田代表は、日本が豊かになっていない原因は「国民の所得が30年間ほとんど上がっていないこと」だと指摘しました。「大胆な減税」を掲げるとともに、「間違った再エネ政策」の見直しを強く訴えました。再エネ政策によって電気代が異常に高騰し、特に産業用電気代が諸外国に比べて圧倒的に高いため、日本の製造業の国際競争力が失われていると批判しました。
さらに、「行き過ぎた移民政策の是正」も主張。低賃金で働く外国人が大量に入国することで、日本人の給与が上がらない現状を問題視しました。
なるほど!: 所得税と法人税の減少を消費税で補おうとする悪循環。景気が悪い時に増税すれば、さらに消費が冷え込むという負のスパイラルに陥る危険性があるという指摘は、ハッとさせられますね。
安全保障:防衛力強化は必要か?憲法9条と平和外交の狭間で
周辺国の軍事的脅威や国際情勢の変化に対応するため、防衛力の抜本的強化が進められています。この問題について、各党はどのような見解を示したのでしょうか。
立憲民主党・野田代表:必要最小限の防衛力整備と自衛隊員の待遇改善
野田代表は、東アジアの安全保障環境の厳しさを指摘し、「必要な専守防衛に徹した防衛力の整備は必要」と述べました。
しかし、これはアメリカから言われてやる話ではなく、独立国家として必要な分を揃えるべきだと強調。過去のトマホーク爆買いのような事例を批判し、装備だけでなく弾薬や自衛隊員の待遇改善など、「継戦能力」の確保が重要だとしました。
公明党・斉藤代表:必要な防衛力の積み上げと外交努力
斉藤代表は、予算ありきではなく、「必要な防衛力がどういうものなのかを積み上げていく」ことが大切だと主張。元国土交通大臣として海上保安庁の最高責任者を務めた経験から、現在の安全保障環境の厳しさを実感していると述べました。
その上で、必要な防衛力を整備するとともに、「外交努力と対話」を常に行っていくことの重要性を強調しました。北東アジア安全保障対話協力機構の設置を公約に掲げ、地域内の対話を通じて信頼関係を築き、偶発的な衝突を防ぐことを提案しました。
日本維新の会・吉村代表:防衛力強化と憲法9条改正の必要性
吉村代表は、「防衛力の強化は必要」であり、合わせて「憲法9条の改正も必要」だと強く主張しました。中国、ロシア、北朝鮮といった価値観の異なる隣国の脅威を現実として捉え、日本の防衛に関する危機感がなさすぎると警鐘を鳴らしました。
陸海空に加え、サイバー、電磁波、宇宙といった新しい領域への対応や、AI、無人機といった新兵器の導入、スパイ防止法の整備も必要だとしました。特に、自衛隊の人手不足が深刻であるとし、待遇改善と、自衛隊が日本を守る崇高な業務であるという共通認識の醸成を訴えました。憲法9条が「違憲」と言われている現状を変えるためにも改正が必要だとしました。
日本共産党・田村委員長:ミサイル配備への反対と平和外交の重視
田村委員長は、外国を攻撃するミサイルの大量配備に強く反対し、「軍事対軍事、ミサイル対ミサイル」では平和が見えてこないと主張しました。最も現実的な安全保障は「争い事を絶対に戦争にしないための外交」であると述べ、ミサイル配備はアメリカの要求による米中対立の構図に日本が巻き込まれる危険性があると警鐘を鳴らしました。ミサイルを持てば攻撃された際に反撃に遭い、沖縄の島々で暮らす人々が「全島避難」を強いられるなど、非現実的な状況を生み出すと指摘。「ミサイルがなきゃ外交できないというのは外交の敗北だ」と述べました。
国民民主党・玉木代表:自分の国は自分で守る、防衛産業の育成と人材育成
玉木代表は、「自分の国は自分で守る」という原則に基づき、防衛力の強化と防衛費の拡充に賛成しました。しかし、アメリカから完成品を買うだけでは真の自衛力は高まらないとし、「国内の防衛産業の育成」とスタートアップを含めた技術革新の重要性を強調。
また、アクティブサイバーディフェンスの法案成立を評価しつつも、人材育成が追いついていない現状を指摘し、サイバー人材の育成を急ぐべきだと述べました。スパイ防止法や外国人土地取得規制法の強化、エネルギーの自給率を高めるための原発新増設など、多角的な安全保障政策を提案しました。
なるほど!: 「自分の国は自分で守る」という原則は多くの国民が共感する部分ですが、その具体的な方法論には各党の考え方の違いが明確に表れています。
れいわ新選組・山本代表:徹底した外交と日米地位協定の見直し
山本代表は、43兆円、ローンを含めれば60兆円規模にもなる軍拡に警鐘を鳴らし、「国連憲章の敵国条項」に日本が抵触する危険性を指摘しました。何よりも強化すべきは「外交」であるとし、近隣諸国との協議体を作るべきだと主張しました。
さらに、日米地位協定に「拒否権」が含まれていない現状を問題視し、日本国内の米軍基地から他国への攻撃を日本が拒否できない状況は、アメリカが暴走した際に日本が巻き込まれる危険性があるとしました。「ミサイルディフェンスと言いつつ、やりたいことは敵基地攻撃能力だ」と述べ、その実態を問いただしました。
参政党・神谷代表:在日米軍の見直しとデジタル・ドローンによる防衛
神谷代表は、現在の日本の国防が在日米軍なしでは考えられない状況であるとし、「この体制を長い時間かかっても見直していくべきだ」と述べました。トランプ大統領の「自分の国は自分で守れ」という発言を引用し、在日米軍の撤退や日米地位協定の見直しを議論すべきだと主張しました。
その上で、軍事費を増強するのであれば、「デジタルなサイバー戦争」への投資や、AI、ドローンを用いた新しい戦闘方法の検討、国産の武器・兵器による賄いを提案。これにより、投資した分が国内経済に回り、経済効果も期待できると述べました。
社会民主党・福島党首:防衛予算の縮小と平和外交の徹底
福島党首は、5年間で43兆円、GDP比5%となると31兆円にもなる防衛予算は「国民の生活が壊れるような金額」だと批判しました。これが積み上げ方式ではなく、アメリカからの武器購入要求によるものであり、貿易赤字解消のためであるという点を問題視。
「専守防衛ですらなくなっている敵地攻撃能力保有」は、まさに「戦争のできる国から戦争する国へ」のシフトであると警鐘を鳴らしました。沖縄南西諸島における自衛隊配備やミサイル計画によって、日本全国の軍事要塞化が進んでいる現状を問題視し、「平和への努力」こそが最も重要だと訴えました。政治の役割は「人を飢えさせないことと戦争をしないこと」だと強調し、平和外交の徹底を主張しました。
日本保守党・百田代表:抑止力としての軍事力強化の必要性
百田代表は、軍事力は安全保障のための「当たり前の話」だと述べ、議論の余地がないと主張しました。中国の異常な軍事力増強や、日本を取ると断言している国の存在を挙げ、「軍事力を上げないと仕方がない」と断言しました。
敵基地攻撃能力についても、日本に向けてミサイルを打とうとしているミサイルを叩くことは、明らかに「防衛」であると説明。ウクライナの事例を挙げ、外交だけでは戦争を回避できない現実を指摘し、「この国攻めたら痛い目に合うな」と思わせる「抑止力」こそが重要だとしました。ヨーロッパの多くの国が軍事力を持っている事実を挙げ、「自国は自分で守る」という世界の常識に日本も従うべきだとしました。
豆知識: 敵国条項とは、第二次世界大戦における敵国(枢軸国)に対して、国連加盟国が国連安保理の許可なく軍事行動を起こすことができるとする国連憲章の一部の条項のこと。日本はすでに国連加盟国であり、この条項が実際に適用される可能性は低いとされていますが、一部の国は残存しているとしています。
若者の声:シルバー民主主義を超えて、未来への希望を掴み取る
「シルバー民主主義」と言われる時代において、若者の声はどのように反映され、実行されるのでしょうか。未来に希望を抱けるのか、という高校生からの切実な質問に対し、各党首はどのように答えたのでしょうか。
日本保守党・百田代表:若者への期待と高齢者優遇政策の見直し
百田代表は、投票者の高齢者比率が高い「シルバー民主主義」の現状は「耳の痛い意見」だと認めつつ、若者の投票率の低さも指摘しました。
日本保守党は「日本の10年後、20年後、30年後」を考えて政治を行うとし、「私くらいの年齢の人間は、私たちの子供や孫のために政治をやる」と強調しました。現役世代や高齢者を優遇する政策を見直すことで、未来を担う若者への投資を増やしていく姿勢を示しました。
社会民主党・福島党首:非選挙権の引き下げと教育・ケアへの投資
福島党首は、若者の声を反映させるために「非選挙権の引き下げ」を提案しました。ドイツで18歳の自治体議員がいた例を挙げ、国政や自治体の選挙で、18歳や20歳から立候補できるようにすべきだと主張。
雇用の立て直しや、大学の授業料と入学金を無料にする(約3兆円弱で可能と試算)といった教育への投資も訴えました。さらに、気候変動や脱原発といった環境問題に取り組む若者との連携、選択的夫婦別姓やLGBTQ同性婚など、多様な生き方を尊重する政策の実現にも意欲を示しました。
参政党・神谷代表:高齢者の理解と若者の主体的な参加
神谷代表は、「シルバー民主主義」という言葉に悲観的になる必要はないと述べました。自身の経験から、高齢者も決して自分たちだけが良ければいいと考えているわけではなく、「子供たちや孫たちのことを考えてくれている」と実感しているとのこと。
参政党は16歳からの投票権や非選挙権の引き下げを訴え、若者が早期に政治に参加し、議員として声を届けることができる社会を目指すとしました。そして、「希望は自分たちで掴み取るもの」だと若者にメッセージを送り、積極的に政治に参加するよう促しました。
れいわ新選組・山本代表:希望はあなた自身、供託金制度の見直し
山本代表は、現状で若者が「希望を持てない」と率直に認めつつ、「あなた自身が希望だ」と若者にエールを送りました。18歳から立候補できる社会を目指すとともに、立候補にかかる供託金制度を見直すことで、資本家ではなく本当に志のある若者が政治に参加できる環境を整えるべきだと主張しました。
高齢者の医療費削減や社会保障の縮小といった議論に対し、社会は「一つの船」であり、世代間の負担のバランスではなく、「公金をしっかり入れて各世代の貧困を底上げする」必要があると訴えました。
なるほど!: 供託金は、選挙に立候補する際に法務局に預けるお金のこと。売名行為や無責任な立候補を防ぐ目的がありますが、若者や資金力のない人が立候補しづらいという問題も指摘されています。
国民民主党・玉木代表:ネット投票とミニパブリックス、若者の声を政策に
玉木代表は、18歳非選挙権の実現と、より投票しやすい環境を作るための「ネット投票の全面解禁」を提案しました。台湾のオードリー・タン氏との対談を例に挙げ、投票権がなくても若者の意見を政策に反映させる「ミニパブリックス」のような仕組みの導入を検討すべきだと述べました。
さらに、AIを活用した「ブロードリスニング」で多様な声を聞き、大学生の親に適用される特定扶養控除の引き上げを実現した例を挙げ、「皆さんの声もすでに政治力を持っている」と強調し、積極的に参加するよう呼びかけました。
日本共産党・田村委員長:学生運動と政策実現への期待
田村委員長は、昨年末から今年にかけて100を超える大学の学生たちが学費を止めるよう求めて集まった運動を例に挙げ、「要請しても効かない政治を変える」必要性を訴えました。高校生の平和ゼミナールが日本核兵器禁止条約の批准を求め、外務省交渉や各党代表との面会を行った事例を挙げ、「核のない未来に住みたい」という若者の声に応えられない政治を変えるべきだと述べました。
学生たちの運動が私立大学の入学金返還に繋がった事例や、痴漢被害のアンケートを通じて性犯罪として明確化を求める動きなど、「動かす政治家や政党を伸ばす」ことが重要だとしました。
日本維新の会・吉村代表:政治家が作り上げた「シルバー民主主義」からの脱却
吉村代表は、「シルバー民主主義は政治家が作り上げているもの」であり、「思い込んでいるもの」だと指摘しました。高齢者も次世代の子供や孫たちのことを考えた政治を望んでいる人が多いとし、自身の知事としての経験から、高齢者向けの無料パス廃止と引き換えに子供たちへの支援を充実させた政策が、多くの高齢者から支持を得ていることを紹介しました。
若者の参加を促すため、18歳非選挙権の引き下げに加え、「ネット投票の実現」を強調し、「この2つは絶対できる」と力強く述べました。
公明党・斎藤代表:若者政策担当大臣の設置と奨学金問題への対応
斎藤代表は、18歳非選挙権とネット投票の提案に賛同し、実現したいと述べました。また、若者政策担当大臣の設置を提案し、現在三原じゅん子氏が担当大臣を務めていることを紹介しました。
公明党は、ネットで様々な政策提言を受け付ける「ウィネクト」を通じて、多くの若者の声を聞いているとし、特に「奨学金の返済」に苦しむ声が多いことに言及。奨学金の返済を所得控除できる「奨学金制度」を公約に掲げており、若者の皆さんも積極的に政治に参加してほしいと呼びかけました。
自民党・石破総裁:投票は国民の権利であり義務、政治参加を促す
石破総裁は、「投票は国民の権利であると同時に義務でもある」と強調しました。国の未来について責任を持つことは、主権者としての義務だとし、それは10代でも20代でも、あらゆる世代で共通であると述べました。
経済政策や安全保障など、様々な議論がある中で、「自分の頭で考えて」正しい判断をすることの重要性を説きました。そのためには、財政や経済、国際情勢などに関する正確な情報が提供されることが不可欠だとし、「是非政治に参加してほしい」と若者に呼びかけました。国民の将来が明るくなるよう政策を推進するが、最終的な判断は主権者たる若者自身にかかっていると述べました。
希望はあなた自身の手の中に
今回の「ネット党首討論」は、日本の未来を考える上で非常に示唆に富むものでした。経済、安全保障、そして若者の声という多岐にわたるテーマで、各党の代表者がそれぞれの理念と政策をぶつけ合いました。特に印象的だったのは、「シルバー民主主義」という言葉に対する各党首の真摯な受け止めと、若者の政治参加を促す強いメッセージでした。
一部の党首は、現在の状況では希望を持つことが難しいとしながらも、「希望はあなた自身だ」と力強く語りかけました。若者の皆さんが主体的に政治に関心を持ち、声を上げ、行動することで、社会は確実に変わっていくというメッセージは、きっと皆さんの心に響いたのではないでしょうか。
ネット投票の導入や非選挙権の引き下げ、若者政策担当大臣の設置、そして大学の学費問題や奨学金問題への具体的な提案など、若者の声が政治に届き、具体的な政策として実現され始めている事例も多く紹介されました。これは、皆さんの「なるほど!」や「こうなったらいいな」が、未来を創る原動力になるという何よりの証拠です。
今回の討論会を通じて、皆さんは各党の政策や考え方について、より深く理解できたことと思います。この情報をもとに、ぜひ皆さんの「一票」が日本の未来を動かす大きな力になることを信じて、主体的に政治に参加してください。
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