フジテレビ調査報告書が暴いた「性暴力」と「組織の闇」。隠蔽体質は変わるのか?

中居氏問題、フジテレビ第三者委員会の調査報告会概要とその影響 フリートーク

タレントの中居正広さんとフジテレビの女性アナウンサー(報告書では「女性A」)の間で起きたとされる問題について、ついに「性暴力被害があった」と第三者委員会が認定しました。

それだけじゃなく、フジテレビ局内にハラスメントが蔓延していた実態や、経営陣の人権意識の低さ、さらには隠蔽ともとれるような対応まで赤裸々に語られました。

今回は、この衝撃的な記者会見の内容を、分かりやすく、そしてちょっと突っ込みながら解説していきたいと思います!

衝撃!フジテレビ第三者委員会が「性暴力」を認定

何が起こった?会見の概要

まずは、今回の会見のポイントをざっくりおさらいしましょう。

発端は、昨年12月頃から報道されていた、タレントの中居正広さんとフジテレビの女性社員との間のトラブル。

これを受けてフジテレビが設置した第三者委員会が、約2ヶ月間にわたる調査の結果を報告した、というのが今回の会見です。

委員長を務めた竹内朗弁護士をはじめ、複数の弁護士、さらには人権問題や性暴力被害者支援の専門家も調査に協力したとのこと。

かなり本気度の高い調査だったことがうかがえますね。

被害者はフジテレビ社員アナウンサーだった…

これまで「女性」とだけ報じられていた被害者ですが、報告書では「CX(フジテレビ)の社員である女性アナウンサー(女性A)」とはっきり記載されました。

これは、ご本人の同意を得た上での公表だそうです。

そして、委員会は女性Aさん、中居さん双方にヒアリングを実施。

その結果、2023年6月2日に中居さんのマンションで起きた出来事について、「女性A氏が中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定」したと発表しました。

なぜ「性暴力」と認定された?WHOの定義とは

委員会が「性暴力」と認定するにあたって根拠としたのは、世界保健機関(WHO)の定義です。

この定義では、性暴力とは「強制力を用いたあらゆる性的な行為」などを指し、その「強制力」には、物理的な力だけでなく、心理的な威圧や脅しなども含まれる、とされています。

つまり、直接的な暴力行為がなくても、立場などを利用した無言の圧力などで意に反する性的な行為を強いた場合も「性暴力」にあたる、ということなんですね。

委員会は、被害申告の内容、女性AさんにPTSDの症状が出ていること、双方のメールのやり取り、関係者の証言など、様々な証拠から総合的に判断した結果、このWHOの定義する性暴力に該当すると結論づけました。

【豆知識】WHOの性暴力定義
「強制力を用いたあらゆる性的な行為、性的な行為を求める試み、望まれない性的な発言や誘い、売春その他個人の性に向けられた行為を言い、被害者との関係性を問わず、家族や職場を含むあらゆる職場で起こりうるものである。またこの定義における強制力とは有形力に限らず心理的な威圧、ゆすりその他脅しが含まれるもので、その強制力の程度は問題とならない」
ポイントは「強制力」の広さと、「関係性を問わない」という点ですね。

中居氏側は守秘義務解除を拒否…それでも事実は動かない

実は、この件に関して女性Aさんと中居さんの間には示談契約があり、双方に守秘義務が課せられていました。

女性Aさん側は調査のために守秘義務の解除を申し出たものの、中居さん側はこれを拒否

そのため、当日の具体的な状況や示談の内容については、委員会も詳細を明らかにしていません。

でも、委員会は「守秘義務があってもなくても、性暴力があったという認定は揺るがない」というスタンス。

集められた証拠から、事実は明らかだと判断したわけですね。

フジテレビの対応は「二次加害」?隠蔽体質の闇

被害申告後も番組出演継続…驚きの判断とその理由

さらに問題なのは、フジテレビ側の対応です。

女性Aさんから被害の申告があったにもかかわらず、フジテレビは中居さんの番組出演を継続させました。

委員会はこの判断を「間違った判断であった」と断罪。

その理由として、番組改編期でスポンサーに説明済みだったことや、急な降板は憶測を呼び、かえって女性Aさんを刺激してしまうのでは?と思い込んだことなどが挙げられていますが…。

うーん、ちょっと理解に苦しむ理由ですよね。

「編成政策ライン」の責任は?コンプラ意識の欠如

この「間違った判断」を下したのは、当時の編成局長、編成担当取締役、そして港社長(当時)の3人、いわゆる「編成政策ライン」だと指摘されています。

彼らは、コンプライアンス部門や外部の専門家に相談することなく、「編成ごと」という狭い考えの中でこの判断をしてしまった、とのこと。

被害者の心情よりも、番組編成やタレントへの忖度が優先された、と言われても仕方ないかもしれません。

委員会は、この対応が「被害者に寄り添わない二次加害と評価されるものであった」と、かなり厳しい言葉で批判しています。

報道対応も後手後手…信頼失墜は必然だった?

昨年秋以降の報道に対するフジテレビの対応も、問題視されています。

当初の報道内容を否定するプレスリリースや、一部メディアのみを対象とした「クローズド会見」など、客観的な調査に基づいた説明責任を果たそうという意識が希薄だった、とバッサリ。

そりゃあ、こんな対応をされたら、世間の信頼を失うのも当然ですよね…

【過去の教訓は活かされず?】テラスハウスや旧ジャニーズ問題
報告書では、フジテレビが過去に経験した「テラスハウス」問題や「旧ジャニーズ事務所の性加害問題」から十分に学んでいなかった、とも指摘されています。これらの問題でも、人権への配慮や透明性の確保が問われましたが、今回の対応を見る限り、残念ながら教訓は活かされていなかったのかもしれません…

「ハラスメント蔓延」!?フジテレビの病巣は想像以上だった…

衝撃のアンケート結果!セクハラ・パワハラが日常?

今回の調査では、本事案だけでなく、フジテレビ局内全体のハラスメント実態についても調査が行われました。

役職員へのアンケート結果などから明らかになったのは、「セクハラを中心とするハラスメントが蔓延している」という衝撃的な事実。

「蔓延」って、相当な状況ですよね…。

しかも、被害を相談できるはずの相談窓口も十分に機能していなかったとのこと。

これじゃあ、被害者は泣き寝入りするしかないじゃないですか!

若手女性が狙われる…「年齢・容姿で呼ばれる会合」の実態

特に問題視されたのが、「年齢、性別、容姿などに着目して呼ばれる会合」の存在です。

これは、有力な番組出演者などを接待するために、若い女性社員や女性アナウンサーが半ば強制的に参加させられる、というもの。

まさに、今回の事件の温床とも言える構造です。

報告書では、こうした会合が「業務」として扱われ、経費まで出ていたという実態も明らかにされています。

これ、完全にアウトですよね!?

  • 有力な出演者と会社の幹部
  • 呼ばれる若い社員(特に女性)

この構図の中で、立場の弱い社員がハラスメントのリスクに晒されていた、というわけです。

類似事案も発覚!スイートルームでの悪夢…

調査では、具体的な類似事案も2件確認されています。

1つは、都内の高級ホテルのスイートルームで行われた会合。ここでも有力な番組出演者と女性アナウンサーが参加し、ハラスメント被害があったとのこと。

もう1つは、少し前の話ですが、有力な番組出演者との飲食の席に呼ばれた女性社員が、男性の上司に置き去りにされ、出演者と2人きりにされた後にハラスメント被害を受けた、というもの。

どちらのケースも、男性社員が女性を守るどころか、ハラスメントが起きやすい状況を作ってしまっているのが、本当に根深い問題だと感じます。

【カスハラも問題に】取引先からのハラスメント
報告書では、出演者だけでなく、取材先など外部の取引先から社員が受けるハラスメント、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」についても触れられています。テレビ局特有の問題かもしれませんが、こうした外部からのハラスメントに対する体制も不十分だったようです。

ガバナンス不全!「ドン」の影響力と取締役会の責任

なぜこんなことに?人権意識の低い経営陣

なぜ、フジテレビはここまで酷い状況になってしまったんでしょうか?

委員会は、その根本的な原因として「経営陣の人権意識の低さ」を挙げています。

ステークホルダー(利害関係者)が企業に求める人権意識のレベルと、フジテレビ経営陣の意識に大きなギャップがあった、と指摘。

ビジネスと人権に関する国際的な基準(国連の指導原則など)から見ても、特に被害者を救済するメカニズムが全く機能していなかった、と厳しく評価されています。

長年トップに君臨した日枝氏の影響力と責任

そして、質疑応答でも多くの質問が集中したのが、長年にわたってフジテレビ・フジメディアホールディングスの経営トップに君臨してきた日枝久相談役(当時)の責任についてです。

報告書では、日枝氏が社長や会長といったトップ人事を事実上決めていたことを認定。

その強大な影響力が、フジテレビの組織風土やガバナンスに大きな影響を与えてきた、と指摘しています。

まさに「ドン」としての存在感ですが、委員会は日枝氏個人の問題だけでなく…

取締役会は機能していたのか?ガバナンス不全の実態

…より重要な問題として、取締役会全体のガバナンス不全を指摘しています。

本来、取締役会が経営の監督や重要事項の決定を行うべきなのに、それを特定個人(日枝氏)に委ねてしまっていた、と。

つまり、「日枝さんさえいなくなれば解決する」という単純な話ではなく、取締役会そのものが 제대로 機能していなかったことが、問題の根源にあるというわけですね。

これは、フジテレビだけでなく、多くの日本企業に共通する課題かもしれません。

再発防止へ…フジテレビは変われるのか?

被害者への謝罪と対話が第一歩

さて、ここまで問題点を散々指摘されてきたフジテレビですが、これからどう変わっていくべきなのでしょうか?

委員会は、再発防止策としていくつかの提言をしています。

まず第一に、被害女性Aさんに対して真摯に謝罪し、これまで十分でなかった対話を始めること

これは当然のスタートラインですよね。

人権尊重へ向けた具体的な取り組み

そして、より根本的な対策として、以下の点を挙げています。

  • 人権尊重を経営の軸に据えること(人権方針の策定、人権デューデリジェンスの実施、実効性のある救済メカニズムの構築)
  • ハラスメントのリスク管理体制を見直すこと(特に取引先からのハラスメント対策)
  • 人材の多様性(ダイバーシティ)を確保すること
  • コーポレートガバナンスを強化すること(特に役員の指名プロセス、取締役会の機能強化)

かなり包括的な内容ですが、これを実行できなければ、また同じ過ちを繰り返すことになるでしょう。

業界全体で考えるべき問題提起も

最後に、委員会は「今回の問題はフジテレビに限った話ではなく、メディア・エンターテイメント業界全体に横たわる問題ではないか」と指摘し、業界全体での共同行動(コレクティブアクション)を呼びかけています。

確かに、テレビ局とタレント、制作会社、スポンサーといった複雑な力関係の中で、人権がないがしろにされる構造は、他の局や企業にも存在するのかもしれません。

今回の報告書が、業界全体の健全化につながるきっかけになることを期待したいですね。

信頼回復への道は遠い?でも、変わるチャンスでもある!

いやはや、本当に盛りだくさんな内容の会見でしたね!

「性暴力」という重い認定に加え、ハラスメントの蔓延、ガバナンス不全など、フジテレビが抱える問題の根深さが浮き彫りになりました。

正直、信頼回復までの道のりはかなり険しいと言わざるを得ません。

でも、報告書の最後には、「経営陣に対して敢然と異を唱えた数多くの社員がいたことが救いだ」という言葉もありました。

今回の調査を真摯に受け止め、現場の社員の声に耳を傾け、本気で変わろうとすれば、まだチャンスはあるはずです。

私たち視聴者も、メディアがどうあるべきか、人権が守られる社会とはどういうものか、改めて考える良い機会になったのではないでしょうか。

この動画(会見)を観るべき? ★★★★★評価

  • 問題の深刻度を理解したい人:★★★★★
    報道だけでは分からない、問題の根深さや構造がよく分かります。
  • フジテレビの今後に関心がある人:★★★★☆
    提言された再発防止策が実行されるか、今後の動きを注視したくなります。
  • メディアや組織のあり方を考えたい人:★★★★☆
    フジテレビだけの問題ではなく、社会全体の課題として捉えるきっかけになります。

長時間の会見ですが、日本のメディアが抱える課題を知る上で、非常に重要な内容だと思います。ぜひチェックしてみてください!

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